ことのは帳

ことのは帳 第4話「みたま」

ナビゲーター:Gen & Ritchi(神社ログ編集部)

ことのは帳 第4話|みたま

── 目に見えないものと、やさしくつながる ──

「ココロ、“みたま”って、どこにいるんだろう?」

神社の境内を歩きながら、ハッチがぽつりとつぶやいた。

風がそっと流れて、木の葉が揺れた。その音に、ココロがゆっくりと頷いた。

「“いない”んじゃなくて、“感じる”ものなんだと思うよ」

■ みたまという言葉

「みたま」は、漢字で書くと「御霊」や「魂」。

亡くなった人の魂だけでなく、“その人らしさ”や“内に宿る力”を表すこともあります。

古くから、神社ではこの「みたま」に向けて祈りを捧げたり、
日々の中で感謝の気持ちを伝えることで、見えないつながりを大切にしてきました。

■ 目には見えなくても、感じるもの

ハッチはふと、昔どこかで感じたあたたかさを思い出していました。

それは、風の中にふと香る草の匂いだったり、
ふと耳にした声に、心がほどける瞬間だったり。

“誰か”がそこにいた、という確かさ。

見えなくても、形がなくても、
「たしかに、そこにいる」と思える感覚こそが、“みたま”と向き合う方法なのかもしれない——そう思えたのです。

たゆたう空気を感じるハッチとココロのイラスト

■ ハッチとココロの会話

「姿がなくても、ちゃんと“ありがとう”って届くのかな」

「うん。言葉って、音よりも、気持ちのほうが遠くまで飛ぶから」

「そっか…。ぼく、今日も“ありがとう”って言いたい気持ち、あったんだ」

「それでじゅうぶん。きっと届いてるよ」

■ しめくくりのことのは

みたま──それは、いのちが去った後も、
その人らしさとともに、風や光に溶けて息づいているもの。

“もう見えない”のではなく、
“今もここにある”という想い方ができるなら。

ハッチは、今日もそっと手を合わせてみました。

次回のテーマ ▶︎ 第5話「うつしよ」
この世界は、“仮の世”とも呼ばれてきました。
現実のなかにある“うつし”の意味を、ハッチたちとともにたどります。

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