幽景写譜 第2話 静寂の通り道
どこまでもまっすぐに並ぶ木々を前にすると、
自然というよりも、“つくられた美しさ”を感じることがある。
誰かの意志がそこに宿っているとき、風景は祈りになる。
まっすぐな道も、整然とした並木も、偶然の産物ではない。
それは、神さまが通る道であり、
それを守ろうとした人の、静かなこころのかたちなのだ。
「この道、どこまでも真っすぐだね」
「きっと昔から、大切に守られてきた道なんだと思う」
「きっと昔から、大切に守られてきた道なんだと思う」

並んだ木々に、ひそむ記憶
初めて通るはずの道なのに、どこかで見たことがある気がする。
真っすぐに伸びる並木道。左右に並んだ大木たち。
自然の森とは違う、整った形に、心がざわつく。
でも、それは不安ではなく、むしろ安心に近い違和感だった。
祈りが形を成す場所
この道は、自然のままの風景ではない。
誰かが、何かのために意図してつくった道。
神さまが通るためかもしれない。
この場所を訪れる人たちの、心が整うようにという想いかもしれない。
その静けさが、風景に深みを与え、
自分もその一部として包み込まれていく感覚があった。
守られているということ
道の両側から、木々がそっとこちらを見守っているように感じた。
誰かが昔から、この場所を手入れし、整えてきた証。
自然と足が止まり、ふと空を見上げる。
光と影が揺れる、その風景のなかで、
なにか大切なことを、思い出しかけていた。
「こういう場所って、神さまだけじゃなくて…
人の優しさも、ちゃんと残ってるよね」
人の優しさも、ちゃんと残ってるよね」