貫井神社|湧き水と風がめぐる、白蛇の守る開かれた杜
武蔵野の住宅街を歩いていると、不意に、鳥の澄んだ声と、優しくあたたかい風がふたりを包みました。
「ココロ、この先に、気になる気配を感じるよ」
「うん、たぶん…水の気。きっとここには、湧き水があるんだと思う」
木漏れ日のなかを進んでいくと、静かに佇む鳥居が見えてきました――貫井神社。
風と水の気配が重なり合う、やすらぎの杜の入口でした。




■ 山に囲まれ、風が通り抜ける場所
神社の周囲は、東・北・西の三方を緑の丘に囲まれた地形になっており、南から風がふわりと吹き抜けていきます。
その風は、ただの自然の風ではなく、どこか神聖な気配をまとっているようで、ココロも「この風、気持ちいいね」と目を細めていました。
風と水が響き合うこの空間は、まさに「自然そのものが祈りの気配を宿す場所」でした。
■ 湧き水とともにある神域
貫井神社は、「貫井=ぬくい」という名が示すとおり、清らかな湧き水に恵まれた地に鎮座しています。
境内の一角にある、大きな池には、今もこんこんと湧き水が流れ込み続け、木々の葉音とともに水音がやさしく響いてきます。
そのせせらぎは、まるで神さまの息づかいのようでした。
神社の中央には大きな池が広がり、水面には空の色や木々の影が映り込みます。
周囲には遊歩道が整備されていて、まるで公園のような開放感がありました。
子どもを連れた家族や、お年寄りの参拝者、学生たちなど、訪れる人の姿はさまざま。
誰にでも開かれながらも、どこか静けさが守られている──そんな心地よい場でした。


■ 白蛇の伝説が守る社
貫井神社には、白蛇の伝説が伝えられています。
白蛇は水神の使いともされ、豊穣と守護の象徴。
「白い蛇って、神様の使いって言われるよね。きっと、ここにもずっといるんだね」
そうハッチがつぶやいたとき、池の水音までもが、どこか語りかけてくるように聞こえました。


■ 祈りと憩いが交差する杜
貫井神社には、祈りの場としての静謐さと、日常の中でふと立ち寄れる安らぎが共存しています。
華美な装飾や荘厳な構造ではなく、自然の恵みとともに生きる、静かな神域。
ハッチはそっと手を合わせながら、「ここ、すごく落ち着くね」とつぶやいていました。
それは、訪れた人の誰もが感じる“こころの還る場所”なのかもしれません。
🖍️ ハッチの絵日記(季節の余韻)

貫井神社は、東京の住宅街のなかにありながら、水と風、そして白蛇の伝説が静かに息づく神社です。
湧き水が流れ、神聖な風が通り抜け、人々が集い祈りを捧げる開かれた空間。
そのすべてが、訪れる人のこころを、やさしく整えてくれる場所でした。
基本情報|貫井神社(ぬくいじんじゃ)
- 所在地:東京都小金井市貫井南町3-8-14
- 御祭神:天照大神(あまてらすおおみかみ)・伊邪那岐命(いざなぎのみこと)・伊邪那美命(いざなみのみこと)ほか
- 由緒:創建は古く、貫井の清らかな湧水を守る鎮守として地域に根付いてきました。白蛇伝説が残る神社としても知られています。
- 見どころ:湧き水の池、白蛇伝説の祠、開放的な境内、木立を抜ける神聖な風
- アクセス:JR中央線「武蔵小金井駅」南口より徒歩約25分
- 拝観時間:参拝自由(社務所は9:00~17:00頃)
- 公式サイト:貫井神社(公式)サイト